ユーロ売り、ドル/円は蚊帳の外…2010/3/24
テクニカルもファンダメンタルもユーロ売り
- (東京市場では)短期の投機筋だけでなく実需筋からもユーロ売りが出ているとされ、こうした動きが一巡しない限り、リスク資産を積極的に買っていく地合いにはなりにくい。
- 「とりたてて新しいニュースはなく、ギリシャ国債のCDSスプレッドはむしろ狭まっているが、ファンド勢やリアルマネーなどから、狼狽売りを含むユーロ売りが続いている」(ファンドマネジャー)
- ユーロは対円では機関投資家によるヘッジの買い戻しが観測されたというが、「ユーロ/ドルでの売りの規模が大きいので、(ユーロ/円は)反発のきっかけをつかめていない」(邦銀)
- テクニカル面からも、ユーロ売りが入りやすい状況で「1.3430ドルや1.3400ドル付近にはストップやダブル・ノータッチ・オプションのトリガーがあるといわれている」(外銀)
- 「ユーロの問題はギリシャだけではない。米国などに比べて期待成長率が低いというファンダメンタルズの問題があり、ギリシャ問題が落ち着いても積極的にユーロを買う動きは出にくいだろう」(ステート・ストリート銀行金融市場部長、富田公彦氏)
- 「(参加者の投資スタイルが)いいものを買うという形から悪いものを売るという形に変化している。世界的に金融市場がリーマン・ショック前後の水準まで戻ったことで、さらにここからリスクを取れるか確信が持てないためだろう。悪材料をみつけやすいユーロは、投資スタイルの変化で売りのターゲットになっている面もある」(同氏)
ユーロ/スイスフランはユーロ導入以来の最安値を更新、ユーロ/ドルは約3週間ぶりの安値をつけ、豪ドルは対ユーロで史上最高値を更新したという。「悪いものを売る」ことで儲ける…本来の投資の意味を思い起こすと胸が痛むけれど…。
今週25~26日にはEU首脳会議が開かれる。相場はユーロ次第という状況だからニュースには気を配っておきたい。(編集部)
ドル/円は蚊帳の外、ユーロ次第の相場
- (午前の東京外国為替市場では)2月の米中古住宅販売件数が市場予想をやや上回り、米住宅市場の先行きに安心感が広がった。この流れを受け、ドル円はやや高く始まったが「90円50銭水準に控えていた輸出企業や金融機関の売りの厚さが意識された」(FX業者)として伸び悩み、小動きが続いた。
- 「ダウが100ドルを超える上昇をみせたにもかかわらず、ドル/円は反応が鈍かった」(外為アナリスト)との指摘もあり、ドル/円は前日に引き続き「蚊帳の外」に置かれ、狭いレンジでの取引を予想する参加者が多い。
- (イエレンSF連銀総裁のハト派発言を受けて)「日米の金利はしばらく据え置かれる公算が高く、ドル/円は完全に(金利差という)ドライバーを失っている。これがドル/円相場がこう着状態を引きずる背景だ」(外銀)
世界経済、米経済、日本経済に回復の兆しが見えてもユーロが市場の上値を抑えているのだとか。今朝発表された本邦の貿易収支は前年比45.3%増となった。とりあえず円安方向に向かえば日本は潤うという傾向。ところがユーロ不信でリスク回避の円買いは続きそうな気配。
強いのは資源国。新興国の需要を引き受けて、さらに強くなりそう。先進国の中で最も早く不況から脱したオーストラリアは4月にも政策金利の引き上げが予想されている。相場予測ツール『ぱっと見テクニカル』で豪ドル/円の日足を表示してみた。(編集部)