中国GDPとギリシャ問題がドルを押し上げ…2010/1/21
中国第4四半期GDPが10.7%、金融引き締め懸念
- ドルが上昇。11:00に発表された中国第4四半期GDPが10.7%と事前予想(10.5%)を上回り、08年第2四半期以来の2桁成長となったことに加え、中国12月消費者物価指数が1.9%とこちらも予想(1.4%)よりも強い結果となったことで、昨日に引き続き中国が金融引き締めに動くのではとの思惑に。
- 中国の一連の経済指標は、景気の堅調さを確認する内容になった。中国など新興国にけん引されてグローバル経済の回復も続きそうだ。
- 中国の順調な景気拡大は豪ドルなどでのリスク・オンを後押しする材料になるが、一方で引き締めも視野に入ってきたことから上値はこれまでよりは重くなりそうだ。
- (中国経済指標が)事前予想より強含みとなれば、中国景気が世界経済をけん引するとの見方から、関係の深い高金利通貨である豪ドルの上昇、低金利の円売りが見込める一方、足元の景気の強さが中国の金融引き締めを前倒しするとの見方となれば、世界景気の回復が一服となってリスクマネーも収縮する見通しとなるため、高金利通貨売り/低金利通貨買いになりやすいとの声もある。
中国の強い経済指標発表結果を市場がどう見るか、どう動くのか。ここのところリスク回避選好でクロス円が弱い。中国の金融引き締め懸念が強まると、ユーロや豪ドルがさらに下げるかもしれない。
昨夜は中国人民銀行の一部商業銀行に対する融資制限の報道にNY株式市場は大幅下落。中国のマネーが世界に潤沢に回らなければ、世界経済は上向かないということなのだ。世界銀行発表の世界経済成長率からも、それが見て取れる。(編集部)
- (世界銀行発表)「2010年の世界経済成長率は2.7%、11年は3.2%の見通し」「09年途上国の成長率は1.2%、10年は5.2%・11年は5.8%の見込み」「09年先進国の成長率は-3.3%、10年は1.8%・11年は2.3%の見込み」「経済は緩やかに回復しているが、刺激措置の解除で失速する可能性」
ドル全面高、ユーロは5カ月ぶり安値更新
- 前日海外市場では、米株式投資家の不安心理の度合いを示すとされるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数).VIXが一時、前日比11%の急上昇。
- ギリシャ国債の保証料が過去最高水準を更新するなどギリシャ問題への懸念が再び高まってきたことに加え、中国当局が一部銀行に新規融資を抑制するよう求めるなど金融引き締め姿勢を示したことなどから「投資家がポートフォリオ上のリスク量を削減する形で(世界的に株や高金利通貨が売られて)ドルに資金回帰が起こっている」(都銀)
- 「(中国の経済指標で)鉱工業生産など事前予想より弱い数字もあったが、インフレ指標がそろって上振れたことで、金融引き締め懸念が広がり、為替市場ではリスク圧縮の動きになった。ユーロのほか豪ドル等が売られたのもこの流れの一環」(証券会社)
投資家の不安心理が急上昇…警戒したい。中長期で高金利通貨に投資するなら、レバレッジを低く、証拠金維持率を管理しよう。ボラティリティの大きさに対峙できないと、高金利通貨のリスクは小さくない。
NY時間にはゴールドマン・サックス、グーグル、アメリカン・エキスプレス等の米大手企業の決算発表が目白押し。その前の欧州時間にはユーロ圏の経済指標発表も控えている。(編集部)