リスク回避で再び円高トレンド、欧州通貨不信…2009/12/9
欧州通貨不信~ギリシャ格付引き下げ&ドバイ不信
- (9日)早朝の取引では、ドバイ債務への欧州銀のエクスポジャーに対する懸念が再浮上したことなどを背景に、ユーロが5週間ぶり、英ポンドが8週間ぶりの安値を更新した。市場ではリスク回避姿勢が鮮明となり、ドルと円が買われる環境となっている。
- 英ポンドは一時10月半ば以来8週間ぶりの安値を更新した。アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の国営投資会社ドバイ・ワールドの債務への英銀のエクスポージャー懸念に加え、英財政赤字拡大に対する懸念が高まっていることも背景。
- 「とりあえずはリスクオフについていくが、ギリシャの格下げが、欧州などの金融機関によるギリシャ向けエクスポージャーへの不安に広がるのかどうかが最大のポイント。S&Pがすでにポルトガルのアウトルックを「ネガティブ」に引き下げているが、さらに東欧など横に広がるかも確認したい」(大手銀行)
- アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の政府系企業の格下げなどで欧州を中心にした信用不安が意識されており、安全資産とされる円の買いが優勢となっている。
- 内閣府が8時50分に発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP)改定値の円相場への影響は限定的。市場では「7日に内閣府が2008年度のGDP確報値を訂正した時点で、7~9月期GDP改定値への関心が薄れていた」(国内銀行)との指摘もあった。
欧州不信によるリスク回避でドル買いが進行した結果のドル高。ユーロと豪ドルは対ドルで3日連続大幅下落。円相場から見ると円高ドル安だが、全体から見るとドル高。
大手格付け会社フィッチ・レーティングがギリシャの格付けを「BBBプラス」に引き下げたことがユーロ安の引き金となった。S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)もギリシャの銀行が西欧で最大のリスクを負っていると指摘。欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が「ユーロ圏の景気回復は厳しい道のり」との見解を示したことも欧州不信を誘っているようだ。
ドル高を受けてクロス円(対ドル以外の円建て通貨ペア)は全体に軟調。基軸通貨としての米ドルの存在を強く感じる。中長期のドル安基調は相変わらずのようだが、年末モードも考慮して証拠金維持率を管理しよう。
本邦のGDP改定値が発表されたので、あらためて各国の経済成長率をグラフで比べてみた。(編集部)